保存研究部会

日時
2015年11月13日(金) ~2015年11月14日(土)
場所
郡山市立美術館

第46回保存研究部会会合報告

11月13日(金)
13:45 郡山市立美術館多目的スタジオ(美術館1階)に集合

内 容

14:00~16:00
1. 講演及び質疑応答
  「東京国立博物館における保存修復活動の進化と現状について」
     講師:神庭信幸氏(東京国立博物館特任研究員)  
  東京国立博物館において1998年より17年に
 わたって保存修復活動に取り組まれてきた神庭
 信幸さんに、着任当初から現在までどのように
 博物館における保存活動に取り組まれ、どのよ
 うな工夫やご苦労があったかをお話しいただき
 ました。12万件以上に及ぶ多種多様な東京国立
 博物館の所蔵品全体をよりよく保存するために
 着任当初保存担当が神庭さんお一人の状態から
 業務の数々を構築されていったお話は、美術館
 で保存活動に取り組む私たちにとってとても参
 考になる貴重な内容でした。また現在保存研究
 部会でも作成に取り組んでいるコンディション・チェックシートについて、さらに写真及び映像
 フィルムの保存に関する東京国立博物館での取り組みもご説明くださいました。
  講演後の質疑応答では、近代の彩色木彫の技法的特徴や保存管理について、京都、奈良、九州
 の各国立博物館の保存部門の体制について、東京国立博物館における保存修復活動の情報公開に
 ついてそれぞれ質問が挙がりました。

2. 提案及び説明「国立修復センター設立の要望
 について」
  (山梨俊夫氏/国立国際美術館長)
  国立国際美術館の山梨館長より、近現代美術
 作品の保存修復施設として「国立修復センタ
 ー」の設立の要望を提案したいため、保存研究
 部会にそのとりまとめの協力依頼がありまし
 た。一旦部会内で検討することとなりました。

コンディションチェックシートについて

11月14日(金)9:30~11:30
◆洋画用、立体作品用フォーマット及び症例集(案)についてそれぞれ意見交換を行いました。

【洋画】
  前回会合までに提案された指摘、要修正箇所を反映させた書式について協議しました。主な修
 正点は以下のとおりです(★は今後全てのジャンルに共通して採用するフォーマット部分)。
  ★点検者サイン欄は2段とし、所蔵者サイン欄は削除。
  ★2頁「取扱い・輸送・梱包時の注意点」の輸送箱の欄に、「新規制作」を追加。また「重
   量」は「作品重量」に変更。「借用先住所」は「集荷/返却先住所」に変更。
  ★4頁「対応・処置記録」の外枠を削除。
   ・4頁「対応・処置記録」を下段に移動し、
    欄そのものを小さくする。
   ・1頁「作品の状態(例)」を削除(症例集
    を作成するため不要)。  

【立体作品】
  前回会合で提案された指摘、要修正箇所を反
 映させ、実験的に使用した際にさらに編集した
 書式について協議しました。主な修正点は以下
 のとおりです。
  ・3頁、4頁の外枠をすべて削除し、4頁の方眼目盛をすべて削除。
  ・4頁の「対応・処置記録」を3頁下段に移動し、欄そのものを小さくする。  

【症例集】
  相澤が作成した状態記録の際の症例集(油彩、紙作品、立体作品、梱包について)をもとに協
 議しました。主な修正点は以下のとおりです。
  ・近似する項目(用語)はなるべく近付けて記述する。
  ・立体作品の症例(用語)を追加する。
  ・「写真」の項目を追加する。

【その他】
  以下のような意見が寄せられました。
  ・工芸(陶器類)は立体に区分できるので、チェック・シートの書式を分ける必要はない。
  ・入力した基本情報が各シートに連動して反映できるフォーマットは、各館におけるPC環境
   やエクセルのバージョンの違いなどで機能しないことが考えられるので、そのような機能を
   含まないフォーマットも提案する。

※次回部会に向けて、以上の意見を適宜各書式に反映し、更新します。

連絡事項等

11:20~11:50
・質問事項や相談など、メーリングリストをご活用ください。
・昨年度第44回会合(会場:碧南市藤井達吉現代美術館)での森田恒之氏のご講演及び質疑応答
 の模様について、問い合わせ、閲覧希望が多いため、森田氏及び発言者の了承を得たうえで全
 国美術館会議HP上に要約原稿を掲載する。
・次回会合は福岡市美術館にて、2月後半に開催予定です。
・山梨館長(国立国際美術館)のおはなしにつきまして、ご意見、ご要望などございましたら相
 澤までお寄せください。

バックヤード等視察

11:45~12:30
 トラック・ヤード、収蔵庫前室、紙作品用収蔵庫、油彩画用収蔵庫、立体作品用収蔵庫を見学させていただきました。各室とも作品や資料、資材が丁寧に整理、保管されており、立体作品等の転倒防止策も大変参考になりました。扉やラックなど、東日本大震災に際して不具合が発生した箇所についてもご説明いただき、当時の揺れの大きさ(郡山市立美術館で震度6弱)が想像できました。

出席者

出席者13名、オブザーバー5名
 
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