教育普及研究部会

日時
2017年2月20日(月) ~2017年2月21日(火)
場所
大分県立美術館
アトリエ+体験活動室

第49回教育普及研究部会会合報告

 今年度2回目となる会合は大分県立美術館(以下OPAM)で開催した。
[1日目]
9:30 開館時間前に通用口へ集合し、2015年4月に開館したばかりのOPAMの建物を視察し、
    教育普及グループリーダーである榎本寿紀氏から概要について説明を受けた。
10:30 会場となるアトリエ+体験活動室へ移動し、この日
     開催の一般向けイベントであり、今年度OPAMで実
     施した教育普及事業の成果発表でもある「音と色彩
     のコンサート 絵を音で見る 音を絵できく」に参
     加した。
12:00~13:30 昼食休憩。
13:30 音楽と美術という2つのジャンルを横断して体験す
     る企画の発端やコンサートに至るまでの経緯、準備
     段階で講師である鈴木広志氏とどのような話し合い
     を重ねたか、などについて伺い、鈴木氏への質疑応
     答も活発に行われた。
14:30 改めて榎本氏からOPAMにおける教育普及事業の根
     本的な理念、考え方についてのレクチャーを受け
     た。目黒区美術館で長くワークショップ・エデュケ
     ーターとして活動してきた氏は着任早々、大分県が
     抱える地理的な問題、学校現場における図工・美術教育の問題に対峙したが、そこで
     「自分はなぜ美術館へ行くのか?」という問題に立ち返ったという。
     「勉強のためと思ったことは一度もな
     い。見ることが楽しい、好きだから美術
     館へ行く。まずは大分の人たちとその感
     覚を共有したい」と考え、「楽しいと感
     じるのは心。感度を上げるには頭で考え
     るだけでなく、体(五感)を使って感覚
     を豊かにすることが大切」と活動の基軸
     を定めた。基本的な考えさえブレなけれ
     ば手法は多様にあってよい、やる側が飽
     きてしまったら参加者に楽しさは伝わら
     ない、と開館初年度に考案したプログラ
     ムは260を超える。学校団体の受け入れからアウトリーチプログラム、大分の自然から
     採集した教材BOXの作成、館内でのワークショップ、大人向けの夜の講座までを教育普
     及グループ4人のスタッフで分担し運営していると
     こと。
     話の理解をより深めるために、人気プログラムの一
     つである“ふわもこ”を参加者全員で体験した。たっ
     た一枚の白い布で出来る活動の豊かさ、体を使って
     楽しむことの大切さに改めて気づかされた。OPAM
     のアグレッシブな活動の根本にあるのは、美術館で
     教育普及に関わる人間であれば共有できるごくシン
     プルな思いであった。質疑応答の時間には参加者か
     ら「日頃の業務では参加実績や事業の効率的な運営
     にばかり気を取られ、本当は来館者に何を伝えたい
     のか、見失いかけていたかもしれない」などの声が
     聞かれた。
18:00~ OPAMのはす向かいにある「花邨」で情報交換
     会。
 [2日目]
10:00 前日と同じ会場を借り、ERGが急きょ担当することになった次年度末の学芸員研修会の
     テーマについて意見交換を行った。
     事前にERGメンバーに依頼したアンケー
     ト回答や過去の学芸員研修会も参考にし
     ながら、全美加盟館の職員全体を対象に
     する研修会の内容として相応しいテーマ
     を話し合った結果、現在自分たちが従事
     している美術館の教育普及活動とは本
     来、市民一人ひとりが芸術文化の楽しみ
     方を知っていれば必要なくなるはずとの
     話になり、そこから将来的にポジティブ
     な意味で「教育普及がなくなる日を目指
     して(仮)」今から私たちが取り組むべ
     きことについて話し合う機会にするのはどうか、と会の大枠について提案がなされ、全
     会一致で承認された。今後、実施に向けて幹事を中心に小ミーティングを2~3回開き、
     詳しい内容や日程について詰めていくことも了承された。
12:00~ 各自、昼食休憩ほか、OPAMで開催中の展覧会や大分市内の文化施設(大分市美術
     館、アートプラザ/磯崎新建築記念館、など)を見学し、自由解散とした。

※今後のミーティングの日程、場所等についてはERGメーリングリストで随時案内します。積極的
 なご参加をお願いします。
(報告者:名古屋市美術館 清家三智)

出席者

会員30名
オブザーバー5名
事務局1名
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