教育普及研究部会過去の活動

日時
2014年9月18日(木) ~2014年9月19日(金)
9月18日14:00~、9月19日10:00~
場所
千葉市美術館(18日)/国立西洋美術館(19日)

第44回教育普及研究部会会合報告

 2014年度第1回目の会合は関東で開催した。
 1日目は千葉市美術館の講堂をお借りして、部会からの報告及び参加者の自己紹介の後、山根佳奈学芸員にレクチャーをお願いした。
 千葉市美術館は千葉大学と地域との連携による「WiCANプロジェクト」を、毎年異なるテーマを掲げ10年近くにわたって継続的に実施している。昨年度のテーマは「なぜ美術を学ぶのか」という、美術と教育に関わる多くの人にとって根源的な問いかけでもあった。このテーマに基づいた鑑賞学習の取り組みを通して、山根さんが美術館学芸員の立場から考えたことを中心に語っていただいた。美術だけで物事を考えていると一部の愛好者だけの問題に終始しがちだが、教育という視点を加えることで学校教育に限らず社会教育も含むことになり、関わる対象が広がる。人が生涯にわたって美術を学ぶ意味、ひいては社会において美術が果たす役割とは何かを見つめ直すきっかけになったという。近年、地域や大学との連携に取り組む美術館・博物館は少なくないが、肝心なのは連携事業において何をするか(=方法論)ではなく、何のために行うのか(=目的)であると、今回のレクチャーを通して再確認することができた。また関わる人たちが「地域の為になるとはどういうことか」当事者意識を持って連携する意義を真剣に考え、共有するだと改めて認識した。
 2日目は国立西洋美術館の講堂へ会場を移し、当研究部会の部会長でもある長崎県美術館長・米田耕司氏に美術館の教育普及の草創期に関するインタビューを行った。
 学芸員という職業に関心を持ったきっかけから、バリアフリーという概念が一般的になる前から分け隔てなく誰でも利用できる施設のあり方について考えていたこと、美術館に限らず博物館、科学館の学芸員や図書館司書、公民館の社会教育主事との交流によって視野を広げたこと、資料収集、展覧会企画、教育普及の各種活動を地域社会における美術館としての役割を見極めながら一貫して取り組んでいったことなどを豊富な図版資料を参照しながらお話しいただいた。今回のインタビューもこれまでと同様にテープ起こしを行い、全美ホームページなどで共有できるよう準備を進めていく。
(報告者:名古屋市美術館 清家三智)

出席者

会員24名
オブザーバー7名
事務局2名
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