地域美術研究部会過去の活動

日時
2015年5月29日(金)
場所
郡山市立美術館 会議室

第2回地域美術研究部会会合報告

 全国美術館会議の地域ブロックごとに地域美術研究の実例を学ぶ方針の本研究部会第2回会合は、東北ブロックの郡山市立美術館を会場に開催された。
 前日の総会で新たに部会長に就任された北九州市立美術館長・西村勇晴氏の挨拶のあと、同館学芸員の杉原聡氏が「郡山と昭和の美術について」と題してご発表下さった。
 郡山市は明治期の開拓事業以来発展してきた歴史を持ち、市民も開拓者精神に富んでいるのが特徴だそうだ。ゆえに早い段階で市立美術館の設立が叫ばれ、しかも市民運動「郡山に美術館を作る会」に美術家や美術愛好家が多く含まれていたにもかかわらず「自らの作品の発表の場」ではなく「優れた美術作品を鑑賞する場」としての美術館が要請されたため、同館には市民ギャラリーが併設されていないのだとか。
 参加者一同から「おぉ…」「すごい」と感嘆の声が漏れる。続いて、郡山における前衛美術活動と、その代表的な画家である鎌田正蔵(1913-99)と佐藤昭一(1927- )について、過去に開催された展覧会の成果を踏まえた紹介がなされた。特に、地域美術をテーマとした展覧会では記録の意味を込めて必ず画業の紹介や作家インタビューを含む映像を作成する、という美術館の姿勢には頭が下がる。
発表後は、本研究部会恒例、収蔵庫での作品実見である。間近で見る作品はもちろん素晴らしかったが、震災を経験された館として収蔵庫でのより良い作品保管方法を模索されている、とのお話が印象的であった。
 午後の質疑応答・討論では、「福島全般の美術活動」「美術館と作家との関わり」「地域美術の調査と作品収蔵」「地域の市立・県立美術館の連携調査」「資料の扱いと整理方法」「各地における明治期の展覧会の実態」「全国どこでも『地域』である」などなど、さまざまなテーマが飛び交い、参加者が自館での経験談や方針を披露しあう大変有意義な意見交換が行われた。各館の研究成果を一覧できるデータベースを、といった本研究会の将来的な展望を予感させる発言さえ飛び出した。
 終わりに、幹事から第3回会合は中国ブロック会場を検討中との報告があった。すると、ブロック開催にこだわらず部会員の所属館も検討すべきか、との提案もなされ、今後の活動の柔軟な展開が予見された。
……というわけで、刺激に満ちた本部会では常に新部会員募集中です。
(川越市立美術館 折井貴恵)

出席者:17名

発表者:杉原 聡(郡山市立美術館)
部会長:西村勇晴(北九州市立美術館館長)
幹 事:山田 諭(名古屋市美術館) 
    泰井 良(静岡県立美術館)
増渕鏡子(福島県立美術館)
吉田衣里(茨城県近代美術館)
折井貴恵(川越市立美術館)
菅谷富夫(大阪市新美術館建設準備室)
江川佳秀(徳島県立近代美術館)
川浪千鶴(高知県立美術館)
オブザーバー
坂本篤史(福島県立美術館)
花井久穂(茨城県近代美術館)
柏木智雄(横浜美術館)
湯浅健次郎(新潟市會津八一記念館)
山田美佐子(稲沢市荻須記念美術館)
山梨俊夫(国立国際美術館)
菅  章(大分市美術館)
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