学芸員研修会

日時
2024年3月7日 - 2024年3月8日
場所
国立新美術館 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
(交通案内はこちら
主催
全国美術館会議、国立新美術館 担当:教育普及研究部会

第38回学芸員研修会

令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被災地域(石川県、富山県、新潟県)からの参加申込については、通常の締切(2月2日17:00)以降も受け付けます(2月22日17:00まで)。
テーマ:「利用者を起点に考える美術館の〈展示・学び・アクセシビリティ〉」
日 時:2024年3月7日(木)、8日(金)
会 場:国立新美術館 講堂・研修室
主 催:全国美術館会議(企画担当:教育普及研究部会)、国立新美術館

開催趣旨

 美術館は作品を守り、次世代に伝える使命を持つと同時に、今を生きる人々と協働し、変化し続ける社会に応答する機関です。そのため、さまざまな人が、多様な目的・方法で利用する機関でもあります。企画展を見に行く人もいる一方で、ボランティアとして美術館に通う人もいます。遠隔地から所蔵品検索をしたり、オンラインの教育プログラムに参加したりする人もいれば、館外でアウトリーチ事業に参加する人もいるでしょう。本研修会で焦点を当てるのは、実際の来館の有無にかかわらず、美術館を利用する「利用者」です。ここで言う「利用者」には、利用する可能性がありながら、まだ利用には至っていない「潜在的利用者」を含みます。
 COVID-19の流行、ICOM(国際博物館会議)の新しい博物館定義*の採択、博物館法改正等を経て、ミュージアムを取り巻く社会や制度は大きく変化しています。転換期にある今こそ、美術館における利用者の体験について再考してみませんか。それを見つめなおすことで、美術館の現在地が浮き彫りになり、美術館の存在意義や、めざすべき未来像を改めて確認することもできるでしょう。
 本研修会では、理論と実践をバランスよく学ぶために、講師による講演に加え、分科会でのディスカッション、グループワークへ能動的に参加することで、参加者自身の考えを深めていただきます。今回設定した3つの分科会のテーマは、美術館運営に携わるすべての人に関わる「展示」「学び」「アクセシビリティ」です。
 これらの全体プログラム・分科会プログラムを通して、研修参加者が、所属館のミッションや社会課題と照らし合わせながら、人々のための美術館活動とは何か改めて考えてみることを、本研修会の目的としています。それによって、人々が美術や美術館から、よりよく生きる糧を見出し、美術館がこれからの社会で確かな役割を果たす道筋を見つけることを目指します。
 なお、研修会の参加者としては、広く会員館の職員・学芸員、個人会員を想定しています。多くの皆様にご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

*ICOMの新しい博物館定義:
 「博物館は、有形及び無形の遺産を研究、収集、保存、解釈、展示する、社会のための非営利の
 常設機関である。博物館は一般に公開され、誰もが利用でき、包摂的であって、多様性と持続可
 能性を育む。倫理的かつ専門性をもってコミュニケーションを図り、コミュニティの参加ととも
 に博物館は活動し、教育、愉しみ、省察と知識共有のための様々な経験を提供する。」(2022
 年改訂版、日本語訳より)
分科会1「展示室の中で何が起きているのか?」
 来館者(利用者)は展示室でどのような体験をしているのでしょうか。どのような体験を求めているのでしょうか。SNSやスマートフォンの普及、コンテンツのデジタル化・オンライン化の拡大といった社会の変化、あいちトリエンナーレ2019やCOVID-19などの出来事を経て、展示室における体験が刻々と変わりつつあります。同時に、美術館の役割や展示の多様化により、来館者やそのニーズも拡散しつつあります。一方で変わらぬもの、美術館として変えてはならないものもあるでしょう。本分科会では、展示室における来館者の体験を見つめなおし、その変化にどう向き合うか、美術館はどのような場を創造できるのかを考えます。

  [講師]鷲田めるろ(十和田市現代美術館長/全美理事)
      降旗千賀子氏(&4+doキュレーター)
  [対話におけるキーワード]
    #展示室 #作品 #鑑賞 #コミュニケーション #展覧会 #ラーニング
    #キュレーション #伝え方 #つながり #SNS #写真撮影 #利用者の変化 
    #アートの日常化 #ニーズ  #ミッション


分科会2「美術館における学びとは何か?」
 この分科会では「学び」について広い視野でとらえなおし、美術館における「学び」とは何かを考えます。美術館における学びは、本来、空間性や身体性を伴うものであったり、非意図的に始まり振り返って実感できるようなものであったりするでしょう。しかし、実際に美術館で行う教育活動の現場で、このような「学び」を常に考えながら活動を設計するのは容易ではなく、意識的に立ち止まって点検する機会が必要です。そこで、本分科会では、社会教育施設である美術館において、利用者の学びとはどのようなものか、またその場を設える学芸員にとっての学びとは何かを体験や対話を通して考えていきます。

  [講師]藤 浩志氏(美術家/秋田公立美術大学教授)
  [対話におけるキーワード]
    #社会教育 #生涯学習 #プログラム #体験 #鑑賞 #観察 #対象者  
    #コミュニケーション #双方向的 #主体的・能動的 #身体性  #空間性 #変容
    #創造


分科会3「アクセシビリティと美術館」
 アクセシビリティの向上は、社会に開かれた美術館の大切な使命の一つです。多様な利用者と相互に理解を深め、美術館を通して誰もが豊かな経験を得られるように活動を充実させる必要があります。しかし、利用者の中には、障害がある人や高齢者、子ども連れ、アートへの関心が薄い人など、様々な事情により美術館に対して利用しにくさを感じる人々がいます。この分科会では、美術館の利用者とはどのような人たちなのか、多様な利用者一人ひとりにとって美術館はどのような場所なのかを考えます。そして、美術館が誰にとっても安心安全で開かれた存在であるためにできることを具体的に検討し、誰もが利用したいと思える美術館像を一緒に考えます。

  [講師]中村美亜氏(九州大学大学院芸術工学研究院教授)
      安曽潤子氏(インクルーシブミュージアム代表)
  [対話におけるキーワード]
    #アクセシビリティ #公共性 #公益性 #ユニバーサル(普遍的) 
    #インクルーシブ(包摂的) #共生社会 #人権 #文化権 #鑑賞と情報 #情報保障
    #広報 #アウトリーチ #コミュニケーション #ICOMの新定義 

プログラム

【1日目】3月7日(木)
 13:00~13:40 開会挨拶、研修会の趣旨説明、事務連絡
 13:40~15:30 講師によるリレートーク(約30分×3人)
          [講師]鷲田めるろ、藤 浩志氏、中村美亜氏
              ※リレートークはアーカイブ配信を予定
              ※講演順序は未定
 15:30~15:45 移動、休憩
 15:45~17:45 分科会プログラム①
 18:30~      情報交換会(希望者のみ)

【2日目】3月8日(金)   
 10:00~14:45 分科会プログラム②(休憩時間を含む)
 14:45~15:00 移動、休憩
 15:00~15:45 全体共有
 15:45~16:00 閉会挨拶、事務連絡

参加申込方法

参加申込はこちら

※申込は2024年2月2日(金)17:00まで。
 事前課題があるため、締切を早めに設定しています。ただし、能登半島地震の被災地域(石川、
 富山、新潟)からの申込は、2月22日(木)17:00まで受け付けます。
※申込は、正会員館職員、個人会員の方に限ります。
※参加分科会を第二希望までご記入いただきます。各分科会の参加者数は調整します。
※二日間に渡り、同一分科会にご参加いただきます。二日間通しての参加を推奨していますが、一
 日目しか参加できない場合は申込フォームの「その他」欄にその旨をご記入ください。二日目の
 みの参加申込は受付できません。
※申込者数が定員を上回った場合、二日間参加可能な方に優先的にご参加いただく場合がありま
 す。なお、複数名の申込があった会員館に、調整をお願いする場合もあります。
※参加可否、参加分科会については、調整の上、2月9日(金)までに全申込者にお知らせします(被
 災地域の申込者には別途連絡)。
※講師の参加日時は、分科会/講師ごとに異なります。
※国立新美術館の開館時間は、3月7日(木)10:00~18:00、8日(金)10:00~20:00です。
 希望者には企画展「遠距離現在 Universal/Remote」展、「マティス 自由なフォルム」展の
 招待券を研修会の受付でお渡しします。

【アーカイブ映像視聴】
※アーカイブ映像の配信を行うのは、1日目のリレートークのみです。
※申込受付、視聴方法については、後日ご案内します。

お問合せ先

研修会の内容、参加申込について:企画担当
 鈴村麻里子(三重県立美術館) TEL:059-227-2100
  E-mail:suzumm00(a)pref.mie.lg.jp [(a)を@に変更してください(以下同)]
 細矢 芳(アーティゾン美術館) TEL:03-3563-0241
  E-mail:hosoya(a)artizon.jp
 青山由貴枝(長野県立美術館) TEL:026-232-0052
  E-mail:y.aoyama(a)naganobunka.or.jp
 
事務手続きについて:全国美術館会議事務局:E-mail: info(a)zenbi.jp
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