美術史学会 美術館博物館委員会 東西合同シンポジウム「裂ける日常、断たれる記憶-福島をつなぐアート/ミュージアム」開催のご案内

日時 2015年3月29日(日)10:30~16:00
会場 福島県立美術館 講堂(福島市森合字西養山1番地)(交通案内
主催 美術史学会、福島県立美術館
後援 全国美術館会議、文化資源学会、日本アートマネジメント学会 
定員 240名(美術史学会会員以外の参加も可、参加無料、事前申込不要)

開催趣旨

 2011年3月11日の地震と津波に引き続いて起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故は、人びとの物心両面に大きな影響を及ぼし続けています。美術史学会は一昨年、「震災とミュージアム-そのとき私たちは何ができるのか」と題するシンポジウムを仙台市で開催し、罹災した文化財や関係施設のレスキュー活動と復興支援事業をめぐり美術史に関わる者として何ができるのかを議論しました。震災から四年を経て開催する今回のシンポジウムでは、かたちあるものの救済活動ということに加えて、あるとき突如として裂けてしまった日常や断たれてしまった記憶といった「かたちのないもの」の恢復に対するアートやミュージアムのかかわりようを「福島」という現場で議論します。
 福島で今なお解決をみないさまざまな問題は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を直接的な原因のひとつとしているといわれています。しかし、たとえば生来のコミュニティから離れることを余儀なくされた人びとのなかで継承されてきた慣習や、蓄積されてきた記憶は、実は地震や津波、そして原発の事故よりも前にすでに喪失へと向かっていたのかもしれません。芸術表現の初発の動機づけは、人びとの日常や記憶、心の状態と不可欠であるのは言うまでもありません。
 また、美術作品など有形文化財を保存活用する場であるミュージアムでは、一方で無形の情報を蓄積し体系化することが期待されています。さらに、可視化し物質化することが難しく、存在じたい忘れられてしまうおそれのある諸々に対して、アートはいかに向かいあい行動しようとしているのか。いま、わたくしたちは美術史にかかずらう者として、「震災と復興」という問題域を超える、この根本的かつ普遍的問題にあらためて目をむけ、我がこととして共有し、意識的な議論を始めなければなりません。
「裂ける日常、断たれる記憶-福島をつなぐアート/ミュージアム」チラシ(PDF:664.2KB

プログラム

総合司会 寺門臨太郎(筑波大学)
 10:30 開会挨拶 鈴木廣之(美術史学会代表委員・東京学芸大学)
 10:40 趣旨説明 寺門臨太郎

○第一部:報告「福島から」(10:45〜12:00)
 司会 後小路雅弘(九州大学)
 10:45~11:10 報告1「福島県立美術館の活動報告」
           伊藤 匡(福島県立美術館学芸課長)
 11:10~11:35 報告2「被災地にある美術館としての企画展事業—いわき市立美術館の場合」
           平野明彦 (いわき市立美術館副館長)
 11:35~12:00 報告3「福島における文化による復興支援事業、アートプロジェクトを中心に」
           川延安直 (福島県立博物館専門学芸員)

昼食・休憩

○第二部:クロストーク「福島へ」(13:00〜14:30)
 モデレーター 川延安直
  「災後に記憶を紡ぐということ 福島での制作と課題」
    藤井 光(映画監督・美術家)
    小沢 剛(美術家)
    蔵屋美香(東京国立近代美術館企画課長)

休憩

○全体討議「福島をつなぐアート/ミュージアム」(14:45〜16:00)
 司会…小勝禮子(栃木県立美術館)
 ディスカッサント…後小路雅弘
   伊藤匡+平野明彦+川延安直+藤井光+小沢剛+蔵屋美香

16:00 閉会

※シンポジウム終了後、福島県立美術館の企画展「飛騨の円空—千光寺とその周辺の足跡」を鑑賞できます。

問い合わせ先

学習院大学文学部哲学科事務室 TEL:03-5992-1094
福島県立美術館 TEL:024-531-5511

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