保存研究部会過去の活動

日時
2019年2月27日(水) ~2019年2月28日(木)
場所
兵庫県立美術館

第52回保存研究部会会合報告

内 容

2月27日(水)
14:00 村田眞宏部会長(豊田市美術館)による挨拶
14:10~17:30 講演及び質疑応答・意見交換
         「近現代美術作品の保存修復事例/クーリエについて」
                              (相澤邦彦/兵庫県立美術館)
   今回は幹事の相澤さんに講師をお願いし、部会員の関心が高い二つのテーマについて講演い
  ただきました。
   講演前半は、近現代美術作品(伝統的な保
  存修復の知識や技術で対応できない作品)の
  保存修復について。1960~70年代の国内作
  品を中心に、状態変化の事例と相澤さんが手
  がけられた数々の修復に関して、画像を交え
  て詳しくご紹介いただきました。2000年代に
  急激に劣化が進行したという70年代の作品例
  と、その原因究明や修復に至るまでのお話は
  現代美術作品の修復の困難さを実感させてく
  れるものでした。また、他国で発生している
  合成樹脂の劣化事例は、今後多くの美術館が直面するであろう問題として大変重く受けとめま
  した。
   後半のテーマはクーリエ業務。過去の貸出事例をもとに、相手方とのやりとり、貸出作品へ
  の事前ケア、輸送箱の工夫、クーリエの行程等々、海外美術館への作品貸出全般のプロセスに
  ついてお話いただきました。
   講演後の質疑応答では海外貸出に関する話題が多く、輸送時のトラブル事例や予防策、輸送
  箱の仕様、承諾書の内容等について活発な意見交換が行われました。また、貸出条件の話題か
  ら発展して、展示室内の温湿度測定方法に関する質問や意見も挙がりました。
  
19:00~ 「魚匠 隆明」にて情報交換会。
11月29日(木)
9:30~11:20 バックヤードツアー   
   相澤さんと横田直子さん(兵庫県立美術館)のご案内により、開館前の常設展示室、絵画用
  収蔵庫、X線室、2箇所の修復室を見学しました。修復室では2グループに分かれ、入れ替え制
  で見学。相澤さんの修復室では昨日の講演に登場した現代美術作品や現在修復中の作品につい
  て、横田さんの修復室では紙作品のブックマット装や保管方法などについて、それぞれご説明
  いただきました。ツアー中も各所で熱心な質
  疑応答があり、予定時間をかなりオーバーし
  ての終了となりました。       
11:30~12:10 防露・防災ガラスに関するプ
  レゼン
   全国美術館会議賛助会員であるAGCグラス
  プロダクツ株式会社(旧旭硝子株式会社)の
  中雄介さんから、同社製品の特殊ガラス「ア
  トッチ」(外観や既存ガラスを維持しながら
  施工できる内窓)による防露効果や施工例、
  防災ガラスの構造等について紹介いただきま
  した。
12:10~12:15 連絡事項等
 ・来年度の会合については調整中です。決まり次第ML上でお知らせします(事務幹事より)。
(報告者:岩手県立美術館 根本亮子)

出席者

1日目:部会員14名、オブザーバー12名、事務局1名
2日目:部会員11名、オブザーバー9名、賛助会員1名、事務局1名

 
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