教育普及研究部会過去の活動

日時
2011年9月1日(木) ~2011年9月2日(金)
場所
宮城県美術館

第38回教育普及研究部会会合報告

内容

 今回の会合は、当研究部会の会員でもある宮城県美術館の齋正弘さんの教育普及活動に参加するというものでした。齋さんは、当部会の元幹事でもあり、美術館教育普及の草創期を担う人たちの一人です。今回は、若手部会員に齋さんの活動を見てもらい、理念に立ち返って教育普及活動を考えてもらう、というのが大きな目的でした。
 13:00から少しずつ参加者が集まりだすと、開始の13:30になる少し前に、齋さんより、「もう始めよう」の一言。曰く、「日本では、遅刻した人に合わせるけど、自分の活動では、早く来た人が得をするというシステム」とのこと。「平等」に対する考え方をいきなり揺さぶられた始まりとなりました。
 宮城県美術館の活動は、10歳以上の人たち向けの「美術探検」と10歳未満の人たち向けの「美術館探検」にわかれています。その基本プログラムを相手に合わせてカスタマイズしていくのが宮城県美術館流とのことでした。まずは、参加者みんなで「美術探検」を体験しました。これは一見するといわゆるギャラリートークなのですが、作家の活動や作品の意味を語るのでもなく、ましてや対話型ギャラリートークでもありません。強いて言えば、どのように人が「個人」という意識を獲得してきたかを美術を通して学ぶ、というものだったように思います。
 一方、「美術館探検」は、10歳以下の子どもたち対象ということで、さまざまな扉を開けてみたり、暗いところに入ったり、あるいは庭の植え込みの中に潜り込んだりと、文字通り館内を探検するというものでした。しかし、これはただ単に子どもが好みそうなことをする、というのではなく、子どもたちが自立していく上で必要な感覚を身につけるための「体験」だといえるでしょう。
 終了後は質疑応答。そして翌日は、宮城県美術館に出向している学校の先生方の活動を見る・・・はずだったのですが、齋さんからの提案で、それはやめにして、質疑応答の続きを行いました。それは、例えば参加者が「SchoolingとEducationの違いをちゃんと認識している」という基本的な理念構築ができていないのに、学校団体がやってきて行う活動を見るのは、大きな誤解を生む可能性があるから、ということでした。

出席人数

会員 18名
オブザーバー 15名
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