小規模館研究部会

 全国各地に点在する規模の小さな美術館・博物館のなかには、その特質を活かした個性的な活動を展開しているところが多々あります。
 「小規模館研究部会」は、1995年、全国美術館会議(以下全美)の中に「小規模館ワーキンググループ(SWG)」として発足した後、2004年、現在の名称へと改称し活動を続けています。建物や予算の規模、あるいは収蔵品やスタッフの数などにおいて、自らが<小規模>と自認する美術館・博物館が交流を深め、諸問題を解決するべく、知恵と技術を共有するネットワーク作りを目指す研究部会です。そのため、他の研究部会と違い、個人ではなく館単位で加盟します。現在、小規模ながらも独自色を打ち出し、地域に根ざした活動を模索する北海道から鹿児島までの60館余りが加盟しています。
 加盟館には作家の個人名を冠した美術館が多いことから、コレクションを核とした作家研究を重要な課題としてきました。また、規模の大小にかかわらず美術館・博物館が共通して抱える問題も議論の俎上に乗せてきました。多岐にわたる業務についての知識を深め技術を磨くため、これまでに教育普及、照明、著作権、広報、収蔵庫建設、地域とのつながりなど、さまざまなテーマを掲げて研修会を実施しています。近年では、東日本大震災を機に、各館が防災マニュアルを策定する際に手がかりとなる「総合防災マニュアル作成の手引き(地震)」(2013年)をまとめました。これは、被災した加盟館の事例発表から、事前の備えが何より重要であるという教訓を得て着手したものです。また、2014年には、美術館運営制度研究部会との合同会合を開き、さまざまな運営母体による小規模館の運営上の課題について意見を交わしました。当研究部会での成果は可能な限り、全美という大きな討議の場に還元していきたいと考えています。
 そのほか、共同企画展覧会も開催しています。複数館のコレクションを活用したこの試みは、「個人美術館散歩―7人の洋画家」(2001年)、「マリー・ローランサンとその時代展―巴里に魅せられた画家たち」(2011~12年)に結実しました。加えて、所蔵作品の貸出や講演会等への講師派遣などでも、相互に協力しています。
 「小規模館研究部会」では、今後も全国の小規模美術館・博物館が情報を共有し、研究成果を活用して活動を充実させるとともに、それによって魅力を増した各地の小さな館に多くの方々が足を運んでくれることを願っています。
                          (2018年5月17日 文責:喜田早菜江)

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