美術館運営制度研究部会

 前身となる指定管理者制度研究部会と美術品国家補償制度研究部会は2004年に発足しました。
前者は、2003年6月の地方自治法改正により美術館を含む公設の施設・機関への指定管理者制度導入が決まったことを受けて立ち上げられました。この制度を美術館に適用するのが相応しいのかどうか、適用するのならばどのような形がもっとも望ましいのか、などの観点からさまざまな調査研究を行い、一定の成果をあげました。
 また、先進諸国で運用されている展覧会開催のための美術品国家補償制度は、1990年代から全国美術館会議内部でも望まれていましたが、美術品国家補償制度研究部会を作って検討を進めていくことになりました。関係機関との連携の末、ようやく日本でも法制化の運びとなり、2011年4月「展覧会における美術品損害の補償に関する法律」が成立しました。
 両部会が果たした役割と経緯をふまえ、広範囲に美術館運営をめぐるさまざまな課題を調査研究していく受け皿にしようということから、2008年2月に指定管理者制度研究部会が美術館運営制度研究部会へ改称し、翌年2月に美術品国家補償制度研究部会を統合しました。そして、恒常的に特定のテーマに取り組むというよりも、その時点で重要と思われる課題と臨機に取り組む部会として活動することになりました。
 まず、美術作品の著作権に関する理解は美術館活動に必須であることから、美術館のための「現場で使える美術著作権ガイド」の発行を企画しました。基幹部分は文化庁著作権課長や国立西洋美術館副館長をつとめられた甲野正道氏に執筆していただき、初版は2011年に刊行しました。さらにその後のデジタル化が進行する社会の変化及び法改正を受け、2019年に改訂新版を出版しました。
 また、国際博物館会議(ICOM)ではかねてより「ICOM職業倫理規程」(2004改訂)を設けていますが、日本博物館協会(日博協)は文科省の委託を受けて2010-11年に博物館倫理規程の調査研究を行い、2012年に日本独自の「博物館の原則 博物館関係者の行動規範」を制定しました。かつて全国美術館会議の内部でも、独自の「美術館基準」を作成する動きがありましたが実を結びませんでした。しかし、ICOMや日博協の動きもふまえ、改めて本部会の活動として、美術館のための倫理規程・行動規範について、その必要の有無から内容の細部まで繰り返し研究・検討を重ねていきました。その内容は随時、総会・理事会・学芸員研修会・機関誌・ホームページで報告または諮問しつつ意見を集めました。そしてほぼ5年にわたる作業を経て、2017年5月の第66回総会で「美術館の原則と美術館関係者の行動指針」が採択された次第です。
 これら以外にも本部会で考えるべき美術館の課題は、15年以上経過した指定管理者制度の現状と今後、美術館における表現の自由、さらには新型コロナウイルスによるパンデミックの影響など、いくつもあります。パンデミック関連で行った全国美術館会議のアンケートや学芸員研修会は、本部会が実働を担って実施したものです。今後も引き続き、美術館運営にかかわるこうしたさまざまな課題について考えていく予定です。

                            (2021年4月1日 文責:安田篤生)

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