美術館運営制度研究部会

 2004年9月、指定管理者制度研究部会が発足しました。2003年6月に地方自治法が改正され、3年以内に公設の施設・機関(美術館や市民会館、図書館、保育所、児童館、体育館など)について「指定管理者制度」が導入されることになったのがきっかけです。美術館界にとっても突然の新制度導入でしたが、この制度を美術館に適用するのが相応しいのかどうか、適用するのならばどのような形がもっとも望ましいのか、などの観点からさまざまな調査研究を行いました。早々に指定管理者となった施設の先行事例の分析などを進め、美術館と行政と社会の協働のふさわしいありかたを探っていきました。やがて4年後にはこの制度の導入も一段落しますが、それぞれの公立美術館やその属する自治体が同制度に対する立場を明らかにできたことで、本研究部会の一定の役割を終えることができました。
 一方、先進国各国で運用されている展覧会時の美術品国家補償制度の確立を、美術館界として政府に提言していこうという美術品国家補償制度研究部会が、2004年6月に立ち上 げられました。この制度は1990年代から全美の中でつよく望まれていたもので、それを研究部会の形で進めていこうというものでした。さまざまな関係者との連携の成果が実り、2009年には国会と政府のなかでこの制度の具体的な検討が始まり、2011年4月には「展覧会における美術品損害の補償に関する法律」が成立しました。いまでは多くの大規模展覧会がこの制度の恩恵を受けています。
 これらの二つの研究部会が果たした役割と経緯をふまえ、今後広く美術館をめぐるさまざまな運営制度や運営上の課題を調査研究していく受け皿を設けようということから、2008年2月に指定管理者制度研究部会が美術館運営制度研究部会に改称し、翌年2月に美術品国家補償制度研究部会がこれに統合されました。特定のテーマを恒常的にとりあげるというよりも、その時点で喫緊だと考えられるトピックに機動的に取り組む部会として位置付けられました。
 2012年2月からは、美術館界としてもつべき規範について検討を始めます。2004年に全面的に改定された国際博物館会議(ICOM)の「博物館職業倫理規程」や、2012年にまとめられた日本博物館協会の「博物館の原則;博物館関係者の行動規範」を踏まえたものです。規範の必要性の有無から議論、調査を開始し、当部会が叩き台を作成して総会、理事会、学芸員研修会、あるいは機関誌、ウェブサイトで会員館の皆さまに繰り返しお諮りしました。5年間の議論・作業の結果、皆さまのご協力のおかげで、2017年5月の第66回総会で「美術館の原則と美術館関係者の行動指針」が採択されました。同年12月には、これに関係法令などをあわせて収載した冊子を刊行しています。
 現在この部会では、指定管理者制度や美術著作権などを含め、美術館運営の基盤にかかわる諸問題を検討しています。多くの関係者に資する課題の抽出や検討を模索しているところです。
                            (2018年5月17日 文責:貝塚 健)

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