保存研究部会

 1993年に「CWG(保存ワーキンググループ)」として発足し、2004年から現在の名称となった保存研究部会では、各部会員が現場で直面する作品保存上のさまざまな課題について、情報共有や研究・討議を行っています。
 初期の活動では、メンバーによる個別の事例発表のほか、課題別研究グループによる発表や全体討議などを行ってきました。近年は部会内外からの要望を受け、国内版ファシリティ・レポートやコンディション・レポートのフォーマット作成を、外部専門家のアドバイスなどもいただきながら、メンバー全体で取り組んでいます。また写真や現代美術作品の保存も新たなテーマとして議論しています。
 これまでの会合で蓄積された成果や資料は、メンバー内で共有するだけでなく、全美会員館へも還元してきました。
 2004年3月には、課題別グループ制を採用した1999年以降の発表内容などをまとめた『事例報告集』を刊行。2006年3月には『学芸員による学芸員のための虫・カビ対策ノート』を刊行(現在は全美HP会員館ページで公開)しました。また、国内版ファシリティ・レポート案は第23回学芸員研修会(2008年3月)で発表後、全美HP(会員館ページ)で公開しています。
 一方で、自然災害を受けた館への救援活動や調査活動も、全美事務局や他の組織と協力しながら行っています。
 阪神淡路大震災(1995年)の際には、救援活動ののち、会員館職員有志とともに阪神地域の美術館・博物館の被災状況を調査し、報告書にまとめました。 この一連の活動が契機となり、全美に新たな規約「大災害時における対策に関する要綱」及び「実施要綱」が成立しました。
 東日本大震災(2011年)における美術館・博物館の被災状況調査と報告書の編集作業も、保存研究部会のメンバーが中心となって行いました。
 作品保存に関する課題は遠大で尽きることがありません。私たちは、各館が抱える課題を自館の問題のごとく真剣にくみ上げ、さらには各館の良いところを学び、全体が一歩ずつでも改善されるよう、これからも取り組みます。
                      (2015年12月2日 文責:相澤邦彦、根本亮子)

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